住所は「東京都」!日本一過酷な“品川ナンバー”エリア、南鳥島の知られる離島ライフ
皆さんは「東京都小笠原村南鳥島」という場所をご存知でしょうか?
日本の最東端に位置するこの島は、行政区分の上では立派な「東京都」です。もし島の中に一般の車が走っていればナンバープレートは「品川」になりますし、郵便番号だって「〒100-2100」と、ちゃんとした東京の番号が割り振られています。
しかし、華やかな大都会・東京のイメージを持ってこの島を見ると、そのギャップに誰もが驚愕するはずです。
東京から約1,200km。本州よりもはるかにグアムに近い、太平洋のど真ん中にポツンと浮かぶ孤島。そこには、私たちが想像する「東京の暮らし」とは180度違う、日本一過酷で、日本一ロマンに満ちた離島ライフがありました。
ライフラインのリアル:水は「海から」、電気は「巨大発電機」
私たちが日常で当たり前に使っている水や電気。南鳥島では、これらを用意するだけでも一大事業です。
水は「海」から作り出す
サンゴ礁でできた平坦な南鳥島には、川も湖もありません。かつては必死に雨水を貯めて生活用水にしていましたが、現在は海水淡水化装置をフル稼働させて真水を作っています。文字通り、海水を濾過(ろか)して命を繋いでいるのです。
電気は巨大なディーゼル発電
もちろん、本土から海底ケーブルで電気が送られてきているわけではありません。島内にある巨大なディーゼル発電機が24時間体制で電気を生み出しています。その燃料となる重油は、年に数回、はるばる海を渡ってくる観測船や輸送船だけが頼みの綱です。

物流のリアル:Amazonも届かない「交通困難地」
「東京都小笠原村」の住所があるなら、ネット通販で買ったものは届くのでしょうか?
日本郵便が指定する「交通困難地」
結論から言うと、私たちが普通に荷物を送っても届きません。
南鳥島は日本郵便によって「交通困難地」に指定されており、通常の郵便ルートが途絶しているためです。島に駐在する自衛隊員や気象庁職員の方々の荷物は、定期的に運行される自衛隊の輸送機(C-130Hなど)に載せられて、特別に運ばれています。
コンビニ・自販機は当然ゼロ
島内に一般のお店は1軒もありません。自動販売機もなければ、コンビニなんて夢のまた夢。
食料や日用品はすべて飛行機や船で運ばれてくるため、台風などで便が数週間遅れると、たちまち生鮮食品(野菜や肉)が消え、缶詰や冷凍食品中心の生活を余儀なくされます。

環境のリアル:360度エメラルドグリーンの海、でも「泳げない」?
周囲を美しい海に囲まれた南鳥島。一見すると南国のパラダイスですが、大自然の厳しさが牙を剥く場所でもあります。
海水浴はNG!サメの回遊地
驚くほど透明な海ですが、周辺にはサメ(メジロザメなど)がウジャウジャと生息しています。うっかり泳ごうものなら非常に危険なため、のんびり海水浴……なんてことは絶対にできません。
触るな危険!世界最大のカタツムリ
島内を歩くと、あちこちで遭遇するのが「アフリカマイマイ」という巨大なカタツムリです。実はこの生物、人間に感染すると髄膜脳炎などを引き起こす危険な寄生虫(広東住血線虫)を持っています。触ることはもちろん、這った跡に触れるのも危険なため、島での移動には常に注意が必要です。

この過酷な島に、なぜ人がいるのか?
スマホの電波は届かず、一般の公衆回線もない。エンタメといえば限られた施設内でのテレビや読書、あるいは仲間との通信。
誰もが「東京」と聞いて思い浮かべる便利さは、ここには何一つありません。
それでも現在、この島には海上自衛隊、気象庁、海上保安庁の職員、数十名が交代で常駐しています。彼らがこの過酷な環境で日々、日本の気象を観測し、広大な排他的経済水域(EEZ)という「国境」を守り続けてくれているからこそ、この島は今も変わらず「東京都」であり続けているのです。