NINOSHIMA
似島
広島港(宇品港)からフェリーで約20分
祈りと癒やしの「安芸小富士」の島
広島市街地の南、広島港からフェリーに揺られてわずか20分。
広島湾にぽっかりと浮かぶ「似島(にのしま)」は、富士山に似た美しい稜線を持つ「安芸小富士(あきこふじ)」を抱く、緑豊かな島です。
海の向こうに現代のビル群を望みながらも、島内に一歩足を踏み入れれば、そこには波の音と鳥のさえずりだけが響く、穏やかな時が流れています。
かつては「軍都・広島」を支える検疫所や臨時野戦病院が置かれ、第一次世界大戦時にはドイツ人捕虜によって「日本で初めてバウムクーヘンが焼かれた地」としても知られる、重層的な歴史を持つ島でもあります。
原爆投下後に多くの被爆者を受け入れた悲しみの記憶を、美しい自然の力で包み込み、今では平和学習やレクリエーションの場として親しまれている似島。
都市のすぐ隣にある「語り継ぐべき日常」を、shima.lifeの視点で紐解いていきます。
絶景・フォトスポット, 国立公園, 歴史・史跡, 伝統行事・祭り, 島の暮らし・生業, 都市圏から好アクセス, 宿泊施設が充実, キャンプ・野外宿泊, 動物・生き物の島, グルメ・特産品, 初心者におすすめ
富士の山容を映す海と
島中に静かに眠る戦争遺構
似島の象徴である標高278メートルの「安芸小富士」は、登山道が整備されており、山頂からは瀬戸内海の多島美と広島市街を360度見渡す大パノラマが広がります。
一方で、島内を歩けば、旧陸軍の第一・第二検疫所跡やレンガ造りの通路跡、高射砲陣地跡など、数多くの「戦争遺跡」が今も現役の風景の中に溶け込んでいます。
令和3年にオープンした「似島平和資料館」をはじめ、発掘された遺骨や遺品を祀る慰霊碑なども点在し、美しい自然ののどかさと、戦争の歴史という強い対比が、訪れる人に平和の尊さを深く考えさせてくれます。
広島湾の夜景を望み
静かな島で心と身体を整える
市街地から気軽に行ける距離にありながら、似島での滞在は驚くほどの静寂と「非日常」を体験させてくれます。 自然体験やスポーツの拠点となる「似島歓迎交流センター(旧臨海少年自然の家)」でのキャンプやバンガロー宿泊、アットホームな民宿での滞在など、目的や旅のスタイルに合わせた選択が可能です。
夜を迎えれば、対岸の広島市街や臨海工業地帯の美しい夜景が海へと反射し、島ならではの贅沢な借景を楽しむことができます。 静かな波音を聞きながら更ける夜は、日々のストレスをリセットするワーケーションや、家族で自然を学ぶ体験型滞在に最適な、心地よい安心感を与えてくれるはずです。
海が育む濃厚な恵みと
歴史ロマンを味わうひと時
似島の周辺海域はカキの養殖が非常に盛んであり、冬に旬を迎える「似島カキ」は、大ぶりで濃厚な旨味が凝縮された島の誇る味覚です。 また、波穏やかな広島湾で獲れる地魚やタコを、潮風を感じる食堂や民宿でいただく贅沢は、まさに至福の瞬間です。
そして、似島を語る上で欠かせないのが「バウムクーヘン」。大正8年に島内の捕虜収容所でカール・ユーハイム氏が焼き上げた歴史にちなみ、現在でも島での手作り体験や、その歴史に想いを馳せるスイーツとして愛されています。豊かな海の幸と、紡がれてきた歴史のグラデーションを、一口ごとに感じることができます。
日本伝来の伝統を繋ぐ
平和と歴史の手土産
似島の最大のお土産は、なんと言っても「カキ」などの新鮮な水産加工品や、歴史にちなんだ「バウムクーヘン」です。島内で伝統的な製法やイベントを通じて親しまれている焼き立てのバウムクーヘンは、大切な人への物語のある贈り物として大変喜ばれます。
また、平和学習や自然体験の島だからこそ、島で採れる自然素材を使った手作りクラフトや、歴史遺構を巡るガイドマップなど、旅の学びや思い出をそのまま持ち帰れる品々が揃っています。使うたび、味わうたびに、似島の穏やかな海と安芸小富士のシルエットが心に蘇ります。
カキ養殖と教育・福祉
都市近郊の島が紡ぐ独自の生業
似島の主要な一次産業は、広島湾の恵みを最大限に活かした「カキ養殖」や漁業、そして温暖な気候を利用した小規模な農業です。
それと同時に、島独自の歴史的背景から、戦後すぐに設立された児童養護施設「似島学園」や、高齢者福祉施設、そして「似島歓迎交流センター」といった、教育・福祉・レクリエーション関連の仕事が島の重要な産業基盤となっています。
近年では、広島港から片道20分という抜群のアクセスの良さを活かし、毎日「本土の自宅に帰れる島勤務」として、フェリーの運航に関わる海技職や、島内の施設で働く福祉・事務スタッフの姿も多く見られます。都市のすぐ隣で、社会貢献と自然豊かな暮らしが両立する独自の経済圏がここにあります。
いきいき体験オープンスクール
大自然と歴史が感性を磨く一貫教育
似島は、広島市通学区域外から船で通学できる「いきいき体験オープンスクール校(似島小中一貫教育校)」を有しており、独自の教育環境が注目を集めています。
児童生徒数が少ない小規模校の特性を活かし、先生と子どもたちが深く向き合うきめ細かな学習指導が行われています。
さらに、カヌー体験や船釣り体験、安芸小富士への山登りなど、恵まれた自然環境をフルに活かした体験活動がカリキュラムに組み込まれているのが魅力です。
都市部に住みながらも、毎日フェリーで島に通い、豊かな自然と戦争遺構から学ぶ生きた平和の歴史。少人数の中で他人を思いやる心と、豊かな個性をのびのびと伸ばせる先進的な学びの選択肢が、この島には用意されています。
瀬戸内がもたらす温和な日々
安芸小富士が遮る優しい風
似島は、瀬戸内海特有の温暖で雨が少ない「瀬戸内海式気候」に属しており、年間を通じて極めて過ごしやすい気候です。
冬場でも厳しい寒さにさらされることは少なく、四季折々ののどかな島時間を楽しむことができます。
島の中央に立つ安芸小富士が適度に風を遮り、沿岸部には穏やかな海面が広がっているため、カヌーやマリンスポーツ、釣りを安全に楽しめる環境が整っています。
夕暮れ時には、対岸の都市の明かりが灯り始める様子を、心地よい海風に吹かれながら眺めることができ、気候の優しさと都市の利便性が奇跡的なバランスで調和する暮らしがここにはあります。
アクセスルート
フェリー(似島汽船)
発着地広島港(宇品港) 〜 似島港(家下港)
所要時間約20分
特徴1日13往復が運航されている、島民や観光客の主要な足となる大型両頭型フェリーです。車や自転車、大型の荷物もそのまま積み込むことができ、ビジネスやキャンプの移動に最適です。
注意点平日の通勤・通学時間帯と、日中の時間帯でダイヤが変わるため、事前の時間確認が必要です。
発着地広島港(宇品港) 〜 似島学園前港
所要時間約15分
特徴島の東側に位置する似島学園前港へと結ぶ航路。学園への通学・通勤者や、島の東側ルートから安芸小富士への登山・平和学習に赴く乗客に広く利用されています。
注意点主に通学・生活に合わせた時間帯で運航されているため、一般観光で利用する際は本数や発着港の間違いにご注意ください。